楽器屋探索ディープレポート Vol.18
シャコンヌ東京吉祥寺店
- シャコンヌについて
- 全国に5店鋪(名古屋・金沢・東京吉祥寺・九州小倉・札幌)を展開するヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの弦楽器専門店。1976年創業以来、『良い楽器をお求めやすく』という初心を主題に、美しい音を追い求める情熱と高い技術をもって、優れた名器をより身近に、演奏する楽しさを多くの人と分かち合う「シャコンヌ」。オールド・モダンの名器を数多く手がけるとともに、ストラディヴァリの再現を目指したオリジナル楽器「CHACONNE」を製作し、世界各国のプレイヤーから注目と賞賛を集めている。
- シャコンヌ東京吉祥寺店舗情報
- シャコンヌ公式サイト
シャコンヌ東京吉祥寺店
武蔵野市吉祥寺本町1-31-11 KSビル904
お問い合わせ:0422-23-1879
営業時間:10:00〜18:30(月曜定休)
楽器店の中の人に話を聞いてみた〜 シャコンヌ吉祥寺 編
このコーナーは、楽器店でミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューしてお話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は、弦楽器専門店シャコンヌ東京吉祥寺店の横井さんにお話をお伺いします。まずはお店設立の経緯から教えてください。
現会長の窪田が個人で楽器商を始めたことが当社の原点です。
1976年、当時窪田が住んでいた愛知県岡崎市で個人経営としてスタートし、ある程度軌道に乗ってきた1982年に名古屋市で会社として創業しました。
「ストラドマガジン」という海外の専門雑誌に、弦楽器オークションの記事が出ているのを見つけ、すぐさま、単身海外に渡り、オークションで楽器を買い付けたそうです。
しばらくは一人で、渡航して買って持ち帰り、修理をして、販売をして、お金が出来たら、またオークションに行く、ということを繰り返し、徐々に取引が増えて、気付けばここまでのお店になったというわけですね。現在は全国5店舗で展開しています。
約300年前にイタリアで作られた楽器を超えられない
会長が個人経営でスタートした期間を入れると40年近くたつのですね。今日は、弦楽器について初歩的な質問をさせてください。抽象的ですが「良い楽器」というのはどのような楽器なのでしょうか?
一般的には、約300年前にイタリアで作られた楽器が良い楽器と言われています。未だに、それらを越える楽器は出てきていないとも言われています。
なぜ300年前のヴァイオリンを越えられないのでしょうか?具体的にはどうすれば良い音が出るようになるのですか?
ヴァイオリンは箱(ボディー)が、均等に同じ強度だと箱全体で共鳴しやすく、音を出来るだけ長く持続させるためには、箱がどういう状態がよいか?というところに着地します。
例えば、部分的に厚さに違いがあると、薄い所は振動しやすいけど、厚い所は振動しづらい。そうすると箱の強度にバラつきが出てしまい、一部分だけが鳴っている状態になる。
ボディー板を薄く均等にする技術は必須ですね。
そうですね。均等にボディーの強度(音程)を整えるとピンポン玉のような感じで全体に音が伝わります。実際、実験でピンポン玉に針で穴を開けてアロンアルファを流して、わずかにバランスを変えるだけで全然跳ね方が違う。ほとんど跳ねないし真っ直ぐ跳ね返らなくなります。
300年前のヴァイオリンと同レベルのものはもう作れないものなのですか?
究極の楽器としては「ストラディバリウス」があります。今は、ストラディバリウスなどの銘器と言われている楽器の板の厚さ分布図が出ているので、ある程度のレベルまでは作れます。
形は同じに出来るんですけど、それでも絶対に同じ音にはならないんですよ。木の材質、硬い木もあれば、柔らかい木もある。木目の幅の違いや経年変化、いくら形を銘器と同じにしても、同じ響きにはならない。そこに現代の楽器製作者の「挑戦」があるんです。
ストラディバリウスの『ニス』とほぼ同じだった
ヴァイオリンの音質には表面に塗るニスの影響も大きいという話も有名ですね。
大きいですね! 数年前にヨーロッパで行われた研究で、ストラディバリウスの『ニス』を採取して分析してみたんです。するとなんと、うち(シャコンヌ)の考えていたニスとほぼ同じ物だったんです。完全に同一かは正直わからないですが、実際にニスを塗ってみて、音を出した物で判断するのであれば、ほぼ同じ(シャコンヌで作ったニス)じゃないかと睨んでます(微笑)。
その凄い楽器が、横井さんが手にしているヴァイオリンですよね?
そうです。『シャコンヌ』というヴァイオリンです。
お値段はどの位になるのでしょうか?
これは、約150万円ですね。実際に出る音からするとものすごいコストパフォーマンスです。他社さんの10倍くらいの価格帯のヴァイオリンには負けません。5月には名古屋で、「ストラディバリウス」と「シャコンヌ」のヴァイオリン弾き比べコンサートを開催しました。
数億円と言われるストラディバリウスとの勝負は!?
勝るとも劣らず…、と言いたいですね(笑)。ストラディバリウスは300年の経年で木が酸化して硬くなっていて、速い振動の高音が得意になっていくんですけど、そのかわり、ゆっくり大きい振動の低音は段々不得意になっていくんです。それに対し、この新作シャコンヌは新しいので、低音はもちろん、高音もニスのおかげで素晴らしい。
シャコンヌの楽器だけのコンサートツアーも開催
もしかしてヴァイオリンの歴史を変える銘器を作ってしまったのでは!?
イタリアのクレモナで毎年開催されている世界中から楽器ディーラーやメーカーが集まる楽器の見本市モンドムジカで、元ミラノ・スカラ座のコンサートマスターの方が、シャコンヌの楽器を見て「これはすごい!この楽器でコンサートツアーをしないか?」と声を掛けてもらいました。
それで、コンサートツアー用に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスまで11本を特別に作ったんです。素晴らしいコンサートツアーになりました。(※2012年5月全国7都市で開催「ルカ・ファンフォーニとレアーレ・コンチェルト〜世界が認めた11本の“CHACONNE”による異次元の音の世界〜」)
シャコンヌの楽器は世界で支持されているのですね!それでは最後に読者の方にメッセージをお願いします。
お店のモットーとして、会長である窪田の「クラシック音楽をもっと世の中に広めたい」という想いが原点にあります。クラシック音楽を愛する皆さま、ぜひお気軽にご来店下さい。
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