e楽器屋.comが取材した楽器店・インタビュー特集(全36回・2015年3月〜2019年12月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

楽器屋探索ディープレポート Vol.36

阿佐ヶ谷 BOGOLANMarket

ボゴランマーケットについて
阿佐ヶ谷南のアフリカ民族楽器と雑貨の専門店。2004年7月、札幌にてネットショップをスタート、2006年7月に東京・阿佐ヶ谷に移転し実店舗をオープン。2013年6月より現店舗に移転。プロユースのジェンベやドゥンドゥンなど珍しいアフリカ楽器を豊富に揃え、アフリカンドラムのプロショップとして皮張やメンテナンス対応も万全。アフリカ各地の雑貨やバッグ、アクセサリー、多様な色柄のアフリカ布、丁寧に縫製したオリジナル商品などアフリカ文化の魅力を伝える個性あふれるアイテムをセレクト。
ボゴランマーケット店舗情報
ボゴランマーケット 公式サイト
千杉並区阿佐谷南3-12-7
お問い合わせ:03-6279-9465
営業時間:12:00~19:30(定休月曜)

楽器店の中の人に話を聞いてみた〜 ボゴランマーケット 編

このコーナーは、楽器店でミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューしてお話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

ボゴランマーケットオーナー 西森裕記氏

豊かに響く、本物のアフリカ産「ジェンベ」を揃える

本日はボゴランマーケット、オーナーの西森裕記さんにお話をお伺いします。ジェンベをはじめとしたアフリカ民族楽器と雑貨の専門店として有名です。とても個性的なお店ですが、オープンのきっかけを聞かせてください。

このお店は妻と二人で運営していますが、以前から自分たちのお店を持ちたいという夢がありました。そこで、好きだったアフリカの太鼓ジェンベやアフリカ雑貨を取り揃えて開業しました。

すてきです!家族の夢が具現化したお店ですね。オープンはいつですか?

2004年7月に札幌でスタートしました。ネット通販がメインでしたが、商品の実物をみたいというお客さまには、自宅兼倉庫まで見に来てもらうスタイルで、商品はジェンベからバラフォンやカリンバなどさまざまな楽器や雑貨を増やしていきました。

ということは、実店舗は東京に出てきてから構えた?

はい、2006年7月に阿佐ヶ谷に東京店をオープンしました。札幌には国際空港がないので、商品の仕入れ、輸入に関して手間がかかっていました。ほんとうは、札幌で続けたい気持ちも強かったのですが、やはりトータルに考えて東京でお店を展開していこうと決めました。

海外からの輸入品の取り扱いにはそういう難しい面もあるのですね。

もちろん(札幌への)転送手続きなどがしっかりできていれば問題ないのですが、なかなか大変でしたね。アフリカ人の気質なのかな(苦笑)。

店内には眺めているだけで楽しくなるようなアイテムが溢れています。お店のこだわりポイントをおしえてください。

僕がお店をはじめた頃、「ジェンベ」と呼ばれて売られていたものの多くは、インドネシアなどで作られた量産品で、プロの演奏に応えられるアフリカ産のジェンベはほとんど出回っていませんでした。そこで、本物のジェンベを広めたい、アフターメンテナンスも含めて「本物」を揃える、というこだわりをもってやってきました。

やはりアフリカ製のジェンベは音が違いますか?

それはもう、全然違いますね。本物のジェンベは堅い木から手彫りで作るので量産品とは密度が違います。太鼓の中での音の跳ね返りも豊かで、ぜひ手にとって叩いて、体感していただきたいです。

西森さんがお店をはじめてからアフリカ楽器の需要に変化はありますか?

プレイヤーの数は少しずつ増えていると思いますが、ほんとうに好きな人だけに向けたマーケットなので、大ヒット商品が出たり、一大ブームがおきたりするものではありません。ただ、近年はアフリカンだけではなくレゲエとかサルサなどで演奏されるなど、楽器の使われ方も多様化してきましたね。

今日もアフリカのどこかで、新しいリズムが生まれている

一般的にはアフリカの楽器や音楽文化は日本ではあまり知られていませんが、どのようなものなのでしょうか?

アフリカにも他国同様にいろいろなジャンルの音楽があって、それこそポップスなどもありますが、本当の意味でアフリカの「伝統音楽」を知っている方は少ないのではないでしょうか。「伝統=古い音楽」というイメージを持たれるかと思いますが、まったく逆なんです。

昔からの「型」を忠実に伝承するようなものではなくて?

はい、とくに僕たち日本人の「伝統」とはちがいます。街中がさながら最新のリズム工場のごとく、毎日新しいリズムや曲が生まれているんですね。古いものはどんどん変化していく。伝統をぶっこわし続けることで伝統になっている、といいますか。

これまでに聴いたことがないようなリズムパターンが日々生まれている?

はい。今日もアフリカのどこかで新しいリズムが生まれています。たとえば手拍子ひとつとっても、僕たちが知っているリズムパターンの常識ではすぐには理解できないところで入ってきたりする。

すごく興味深いですね。

日本の伝統芸能、古典芸能にも流行りのエッセンスを加味することがよくあるようですが、アフリカの場合は本質そのものが変化し続けている、そのあり方がアフリカの伝統音楽と言えるのではないかということです。このようなアフリカの捉え方はまだ日本には定着していませんが、そこを知っていただくと、さらに深い世界が待っています。

西森さんだからこそ伝えられるリアルなアフリカ情報です。そのカルチャーはお店にも反映されている?

はい。音楽、楽器、ファッション、雑貨など新しいものを積極的に取り入れています。その一方で、僕流のメンテンナス方法が現地で逆輸入されるようになるといいな…と思っています。とくにメンテナンス技術など日本人のほうが得意な分野もありますからね。

日本人特有の緻密な手仕事の賜物ですね。

アフリカ人のパワーというかスピードは凄まじいのですが、ヒモの巻き方とっても、まあ、なんといいうか…、大らかですよね(笑)。良い意味で向こうの人はザックリしている。でも、彼らはとにかく考え方が柔らかいです。

アフリカ楽器の魅力を、より多くの人に伝えていきいたい

ところで、「ボゴラン」とは西アフリカの伝統泥染めのことだそうですが、独創的なデザインと多彩な色合いが人気のアフリカ布も、毎年たくさんの新作が生み出され、同じデザインには二度と巡り会えないと言われるほど、変化に富むようですね。

伝統に新しいものを取り入れ、どんどん変化していくことがアフリカ文化の魅力のひとつだと思います。このジェンベだって、10年前のものを使っていると「ずいぶん古いのを使ってるね!?」と驚かれます(苦笑)。それこそ、5年後なにが流行っているかの予想がつきません。だから、メンテナンス技術についても、今までのもので満足せずに、ここから生み出していきたいですね。

それでは、アフリカ楽器に魅了された西森さんと音楽との出会いについておしえてください。

アフリカ文化、アフリカの楽器に出会うまでは音楽とは縁がなくて、バンドもやったことなかったし、とくに音楽に入れ込んだような、かっこいいエピソードはないんですよ(苦笑)。

いえいえ、まったく構いません。どのようなきっかけでアフリカ音楽と出会われたのですか?

僕はずっとスケボーをやっていたのですが、ケガが絶えなくて…。このままでは身体がもたないなと。そんな時期に、妻が働いていたショッピングモールでアフリカンミュージックのコンサートをやるというので、軽い気持ちでいっしょに観に行ったのがきっかけです。

そこでアフリカのリズム、エネルギーを生で体感したわけですね。

遊びでDTMの打ち込みをやったことがあってリズムパターンの基本を知っていたため、聴いたとき「このリズムどうなっているの?」と、パニックになりましたよ(笑)。そして、すごい勢いでのめり込みました。自分たちもやってみたい!と思い、仲間とアフリカ楽器の演奏を楽しむようになりました。その後、アフリカ楽器の魅力をより多くの人に伝えたいと、ボゴランマーケットをオープンし、いまに至ります。

これからも変化を重ねるアフリカ音楽文化を、ボゴラン・スタイルで発信していってください。それでは最後にボゴランマーケットからメッセージをお願いします。

メンテナンスを含めて責任を持って良いジェンベを紹介いたしますので、ぜひ一度ご来店ください。サイトの情報も充実していますので、まずは興味も持っていたければ幸いです。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2019年12月)

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荻窪駅(杉並区)
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